ご入学おめでとうございます。今日のお祝いの言葉として、お願いを3つしたいと思います。
1番目は色々なことを嫌だと思わないで欲しいと思います。嫌だと思うとどうなるか。時間が過ぎていくのがものすごく長く感じるようになります。入学式が嫌。テストの勉強が嫌。大嫌いな国語の勉強はもっと嫌。嫌と感じると人間はストレスを感じて時間が経つのが遅くなります。逆に嫌と思わなければどうなるか。時間はあっという間に過ぎてしまいます。だから、自分があまり得意でない科目、できればしたくない科目がどうしたら早く終るのか。それは嫌だと思わないことです。自分で嫌だと思わないという考えをしてほしいのです。
2番目は失敗を失敗と思ったらいけないということです。諸君らは、これからの6年間にたくさんの失敗をすると思います。人間関係、勉強、テスト、スポーツ・・。私はあえて言いたい。失敗を失敗と思ってはいけない。なぜか。失敗は思い出すだけでも嫌になります。失敗を考え始めたら、目は開かなくなり、体が震えます。つまり、失敗を失敗と思って自分を責めると、できなくなることがたくさんあります。それは、失敗から学ぶということです。どうしてこうなってしまうのかということに対する謙虚な振り返り、謙虚な学び、二度とこういうことをしないという決意、これらは失敗を失敗と認めないで、学ぶという気持ちからおきます。だから、大変奢った言い方かも知れませんが、失敗は上手くいかなかった実験と思って欲しいのです。化学や物理の実験で、燃えちゃったり、音がしたり、崩れたりして、だめでした。そんな気持ちで、失敗に直面したときに、失敗実験ノートを作ってほしいのです。なぜだめだったのかという、素直で顕著な反省。これがあれば、次の実験は絶対にうまくいきます。だから、失敗を失敗と思わないで欲しいのです。失敗はただ上手く行かなかった実験と思って欲しいのです。
3番目は友達を作って欲しいということです。諸君らはこれから6年間を須磨学園で過ごして、人生の一番素晴らしい中学生・高校生生活を送るわけですが、ぜひたくさんでなくていいので友達を作ってほしいのです。でも、友達は廊下を歩いていたら天井から落ちてくるわけではありません。教室から飛び出してくるのでもありません。通学の電車で横に座っているのでもありません。もし、諸君らが友達が欲しいと思うなら、「僕の友達になってください」、「私の友達になってください」、と自分から声を出してお願いされることを勧めます。そのために、まず何が必要か。それは、自分は友達を大切にするという自分の決意です。そして、ちょっと恥ずかしいさっきのせりふを友達になってくれそうな人に言う勇気です。だから、入学式が終わってから今日学校から帰るまでに、友達を作る努力を始めてほしいのです。中学の勉強は総括的な勉強ということで、年をとったら忘れます。大学の勉強は高校の勉強のようなテクニックの勉強ではありません。だけど、大学に行っても社会人になっても年をとってもなくならないのは友達です。だから、いい勉強をしていい友達を作ることをこれからの6年間でしてほしいと切に願います。
2019年4月6日 学園長 西 和彦