たった今、卒業証書を授与された夙川中学校としての1期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。この3年間のうち、2年間はコロナ禍であり、学校の生活は制限された中で行われてきました。でも皆さんはいきいきと行事に、部活動に、学習に、研修旅行に取り組んで来られました。オリエンテーション合宿、古都研修、スキー研修、体育祭、文化祭、イングリッシュキャンプ、レシテーションコンテスト、サマーフェスティバル、どれも皆さんは楽しく、元気で前向きに参加をされました。素晴らしいと思います。この事がこれからの皆さんの人生にとっていい経験となって残っていくことを願っております。
皆さんは本当にいろんなことを学ばれ、経験し、大きく成長されたことと思います。皆さんのご家族は立派になられた皆さんの姿を見て喜んでおられることと思います。ご家族の皆様にもお祝い申し上げます。おめでとうございます。
さて皆さん、今日のこの式は何のためにやっているのでしょう。S1学年からS2学年に上がる、そのことが当たり前だと思っている人がいらっしゃるかもしれません。でも今日のこの式は皆さんが義務教育を終えられたという、中学校の課程を終了されたという、一つの区切りの日だと捉えて頂きたいと思います。区切りの日、それは同時に皆さんが子供だった自分に別れを告げて大人になる日だと思っています。突然大人になるわけではありませんが、子供だった自分にそろそろピリオドを打って大人になる、大事なことだと思います。
じゃあ、子供と大人の違いはどこにあるのでしょう。私がこの人は子供だなと思う人について話をします。自分の思い通りにならないとき、世の中のほとんどのことが自分の思い通りになることの方が少ないのですが、自分の思い通りにならないことになったとき、どうするか。駄々をこねたり、我儘を言ったり文句を言ったりする人は子供だと思います。拗ねたり、相手のせいにしたり、自分に足りないことがあるにも関わらず、反省をしない。極めつけはそのことで相手に迷惑をかけたり、謝らない、私はそういう人のことを子供だと思います。程度の差があっても、皆さんにも私達大人にもそういうところがあります。子供のまま大人になってしまった、そういった大人はたくさんいます。気を付けてください。ちょっと恥ずかしく、情けないことだと思います。我儘は一度や二度なら許される。それは子供の特権です。皆さんの我儘は周囲の人に許されてきたということを理解してください。
なにが言いたいか。そろそろ我儘を言うことを少しずつ我慢をして、自分のやったこと、または自分のやらなかったこと、自分で言ってしまったこと、そして自分が当然言うべきだけど、言えていなかったこと。「ごめんなさい」「ありがとう」もそうかもしれません。思い返して反省してください。非常に月並みな話です。反省をしましょう。反省のないところに改善はありません。皆さんがトラブルに遭遇したときに、感情的な対応をするのではなく、理性的な解決を探って頂きたい。自分はどうすればよいのか、どうするべきだったのかと、いま幼い貴方が大人の自分、理性的な自分に問いかけてください。私は皆さんにはそういう理性を獲得して頂きたい。他人とトラブルがあったときに感情の赴くままに怒ったり泣いたりするのではなくて、相手の立場に立って、想像力を働かして考える。こんなことをいうと相手はどう思うだろう。相手の立場はどうなんだろう。自分だったらそんなことを言われたらどう思うだろう。これはイマジネーションの問題です。想像力の問題です。相手が何を思っているのか。相手がどういう人なのか、それを考えて人との関係を作ってもらいたいです。つまり何が言いたいか、人の気持ちを考えましょうということです。そしてみんな間違うときは間違います。傷つけた人がいるのであれば、許してもらいましょう。傷つけられたのであれば、相手が謝るのであれば許しましょう。ということで許し、許し合う関係。これを是非実践して頂きたい。心に留めて頂きたいと思います。
ということで、子供の皆さんから、この区切りの日を機会に大人になられることを願っております。さらなる皆さんの成長を願ってこれからも応援していきます。今日は卒業おめでとうございます。私の話は以上です。
2022年3月18日 中学校校長 西 泰子