本日、ここに卒業されるみなさん、須磨学園夙川高等学校卒業おめでとうございます。教職員一同、みなさんのご卒業を心より祝福したいと思います。  保護者の皆様、ご子息・ご息女のご卒業、心よりお祝い申し上げます。本日を迎えるまでのご苦労に敬意を表し、本校教育に対する深いご理解と多大なるご支援・ご協力に感謝申し上げます。

 さて、卒業生のみなさん、みなさんは入学以来本校のスローガンLearning for tomorrowのもと、「将来を見据えた自己実現」のための歩を進めてきました。その歩は明日以降も続いていきますが、夙川高校を卒業する日に改めてみなさんに問いたいと思います。『あなたは将来どうしたいですか?』 みなさんは本校に入学してから今日まで、保護者の方や担任の先生等に何度もこの問を投げかけられたはずです。そしてその都度、この質問に対する答えを考えたはずです。そしてその答えは? 第一志望の大学に行くことでしょうか。自分の目指す職業に就くことでしょうか。それとも人格的なことでしょうか。答えが出ている(と思われる)人も出ていない人ももう一度よく考えてください。そしてよく考えた後は、そうです、一歩踏み出すことです。行動することです。徹底的に考えて出した結論であればそんなに大きく間違っていないはずです。みなさんは3年間のPMTMを通してこうしたことを学んだのです。

 しかし行動に移すと失敗します。前に進まないこともあります。そのときは息抜きをして少しだけ立ち止まってみましょう。そして再考してください。なぜ失敗したのか、なぜ進まないのかと。この自己分析が重要です。自己分析を怠ると同じ失敗を繰り返すことになります。考えても考えても答えの方向性すらわからないこともあります。そんなときは謙虚になって助言をもらいましょう。周りにはいろいろなことを経験している人たちがいます。相談することはとても大切です。忘れないでください。もしかしたら軌道修正する必要があり時間がかかるかもしれません。しかし少しくらい立ち止まっても大丈夫です。周りからそんなに遅れることはありません。安心して考えてください。そしてまた行動してください。しかしまた失敗。そして再考と修正。前進。この繰り返しです。こう考えると、『あなたは将来どうしたいですか?』という質問は人を動かします。

 このように良い質問は人を動かします。『あなたは将来どうしたいですか?』この質問以外にぜひもう一つ自分を突き動かす質問を見つけてください。そのためにたくさんたくさん勉強してください。その質問は学術的なことかもしれません。時には常識を疑ってみましょう。もしかしたら身近なところに質問のヒントがあるかもしれません。みなさんが3年間本校で培った基礎学力や感性があれば必ず人を動かす素晴らしい『質問』が見つかるはずです。参考のために少し前に読んだ本には「あなたのこれまでの人生で最も後悔したことは何か?」という質問がありました。私は「もっと勉強すればよかった」「あの時こうすればよかった」等、あれもこれもと考えてしまい答えを一つに絞ることができませんでした。みなさんの答えは何でしょうか。著者の答えは「人に優しくなれなかったこと」です。とても深い答えです。考えさせられます。

 さあ、明日からは新たな生活が始まります。新たな『質問』を見つけましょう。その答えを必死に追い求めてください。それらすべてが最終的にはみなさんの『自己実現』につながっていくのです。

 最後になりますが、みなさんのこれからの人生が実り多いものとなることを祈念して私からのお祝いの言葉といたします。

2024年3月2日 高校校長 土屋 博文