夙川中学校二期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
この中高一貫校の卒業式というのは、独特な趣があります。なぜなら今日は別れの日ではないからです。今日は区切りの時です。幼かった自分との区切り、今まで一緒に過ごしてきた先生との一つの区切り、中には別れる先生方もいらっしゃいます。
そしてまた今日は、皆さんのお父さんやお母さんに、日頃言えなかった感謝を伝える日でもあると思います。「今までありがとう」 日頃言えない言葉を言ってみてください。
ではその区切りを迎えた皆さんにお伝えしたいことが2つあります。
一つ目は、この3年間皆さんはとても頑張られたということです。素晴らしいことです。二つ目はこれから皆さん「大人になってください」という話です。
皆さんが入学された三年前、新型コロナ肺炎が猛威をふるい始めた時でした。未曾有の事態に私たちは手探りで学校運営をやってきました。全てのことが初めてであり、私たちは正解を知らないまま、目の前の課題に取り組んできたと言っても過言ではないと思います。
入学式はYouTubeで行われました。スプリングキャンプは延期。文化祭は中止。体育祭はマスク着用。その後、全てが制限の中で行われることになりました。 当初は授業もZoomでした。
学校に来る時はマスクを着けて、クラスメイトの顔はマスク越しでしか見ることができませんでした。お弁当食べるときは、楽しいはずのお弁当の時間もみんな前を向いて黙々と食べていました。J2学年では文化祭も体育祭も制限の中で行い、アジア研修旅行は延期になり、つい先日一年遅れで実施をされました。 しかし皆さんはこの制限の中、精一杯活き活きと全ての事柄に手を抜くことなく取り組んでいらっしゃる、私はそれをとても素晴らしいことだと思います。皆さんの取り組みに心より賞賛を送ります。
二つ目に申し上げたいことは、大人になってください、ということです。このコロナ禍で中学生活を過ごされて、改めて実感されたことがあるんじゃないでしょうか。それは何かというと、人との関係の重要性です。クラスメイトとの関係、先生と先輩との関係、私たちの心を育てるものは、人との関係です。私たちの心は人との関係の中で育ちます。だから皆さん、人との関係の中で、例えばあの人がそんなこと言った、腹が立つ、喧嘩をする、それは子供です。気持ちはわかりますが、一度考えてみてください。なぜあの人はあんなこと言ったんだろう、どんな気持ちだったのか、その人の立場に立って物事を考えること。必要なことは想像することです。あの人はどう思ったんだろう、皆さんの想像力が問われます。自分の気持ちの捉え返し、自分の言動の振り返ること、大切です。間違ったと思ったら、改めたらいいだけのことです。素直に反省をして、迷惑をかけた相手に謝って、二度目の過ちをしないことです。それが大人になる第一歩だと思います。嵐のような感情をコントロールすることは難しいことかもしれませんが、感情のおもむくままに、大きくなる自分の感情を持て余す大人にならないでください。人の気持ちにイマジネーションを働かせる、そして人の気持ちに寄り添うことができる、そういう人になってもらいたいと思っています。
義務教育を今日、終えられた皆さんは来月からは高校生になられます。夙川は中高一貫校ですので、高校に進学されてもほぼ一緒の顔ぶれですけれども、中学生の時から成長したね、と言われる姿をぜひ見せていただきたいと思っています。皆さんが大きく成長されることを期待してています。
まずは中学校卒業おめでとう。そしてこれからもどうぞよろしく。
2023年3月17日 中学校校長 西 泰子