今日は3学期の終業式であり学年の最後の日です。4月には学年が1つステップアップします。新J2学年は新しく後輩が入学し先輩になります。先輩としての振るまいが求められます。新S1学年は中学の勉強から高校の勉強へ移行しより難度の高い学習が求められます。新K2学年は文理選択が終わり、大学入試に向け受験勉強がスタートします。K3学年は自身の将来の進路を勝ち取る1年になります。各学年ともに、新しいもの、より高いものが求められるのです。今日はこのステップアップについて話します。

 例えばプロのスポーツでは、一軍・二軍や上下のリーグなどがあります。二軍で十分に上達した選手がステップアップし一軍に昇進します。さらに一軍でも十分に上達した選手はよりレベルの高い外国へ行き活動をします。本来のステップアップはこのように、今置かれている環境ではもう十分こなせる人が、よりレベルの高い環境に上がり、さらに技術や資質を高めることをいうのだと思います。

 しかし、学校の学年は4月になれば全員ステップアップします。今年一年間、今の学年の取り組みを十分にこなせた人もいればそうでない人もいます。しかし、みんな一緒にステップアップするのです。ここがプロスポーツとの違いであり学校の特徴だと思います。十分にこなせなかった人が一つ上の学年で上手くいくでしょうか。恐らく今の差がより大きな差になるのではないでしょうか。

 ステップアップする時の注意点を言うと、一つ目は、次のレベル・環境では、何をどれだけ求められているのかを予想し、スタートまでに準備することです。未知の事を予想するのは簡単なことではありません、だからこそ慎重に十分に準備する必要があるのです。イチロー選手は「“準備”というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく、そのために考え得るすべてのことをこなしていく、ということ」と言っています。つまり失敗した時の言い訳になる事をあらかじめ考え、それをなくす努力が準備と言う意味です。また、アメリカの自動車会社の創設者であるヘンリー・フォードは「成功の秘訣は、何よりもまず、準備すること」といっています。準備こそが大事だと分かりますね。

 二つ目は、今の学年の取り組みは次年度の基礎になるはずです。今の学年の取り組みが出来ていなければ、より高度な次の学年は難しいでしょう。だからこみ、今の学年でやり残したこと、出来ていないことを仕上げるように努力してください。戦国大名の武田信玄は、「実力の差は、努力の差。実力の差は責任感の差」といっています。コツコツ積み上げる努力。自分を高めようという自分自身に対する責任感が大事だと言っているのです。

 一つ目の準備、二つ目の仕上げが大事です。明日からの春休みは、ステップアップの準備と仕上げに当ててください。今の学年でやるべき事、出来なければならないことを仕上げ、次の学年で求められること、必要とされることを考え準備を整えて新学年の始業式を迎えるようにしてください。

2022年3月19日 高校校長 下地 英樹