厳しかった冬が終わり春を迎え、葉を落としていた木々には緑が戻ってきました。桜の花もその気配を見せはじめ、日に日に陽気も感じられるようになってきたこの春の良き日、この学び舎を巣立ってゆかれる3期生の先輩方、ご卒業おめでとうございます。在校生一同、心よりお祝い申し上げます。

 夙川高校を卒業される先輩方からは今、どのような景色が見えているでしょうか。高校で過ごした仲間とのかけがえのない思い出、これからの期待と希望に溢れた未来など様々でしょう。 しかし、私たち後輩が見ている景色は、先輩方と共に過ごした日々の思い出です。とても優しく、親しみやすく、時に、そっと手を差し伸べてくださった先輩方は私たちの憧れでした。

 先輩方との最初の出会いは二年前、緊張や不安でいっぱいの私たちを優しく迎え入れてくださり、学校生活でたくさんのことを教えてくださいました。年齢が一つ違うだけなのに、どれほどその背中が大きく見えたことでしょう。先輩方は、いかなる時も私たち下級生の模範となる行動をしてくださいました。そのたびに先輩方の存在の大きさを知ることになりました。

 私は、日常生活以外にもオープンハイスクールや文化祭、体育祭など比較的多く、先輩方と関わる機会がありました。オープンハイスクールでは、慣れない仕事で緊張している私に、やさしく、気さくに話しかけてくださったおかげで、早くなじめることができ、リラックスして発表に挑むことができました。また、来校された方に対して笑顔で接し、はきはきと話していた先輩方の姿からたくさんの事を学び、実践することができました。

 体育祭では、応援団の演技を考えたり、下校時間ギリギリまで小道具の用意や太鼓の練習をしたり、団が優勝するために努力する先輩方を一番近くで見てきました。その姿は本当にかっこよかったです。そんな先輩方の姿を見て私たちも負けじと頑張ろうという気持ちになりました。また競技や応援団などいかなる時も最前線に立ち、率いてくださると同時に、私たちを鼓舞してくださったおかげで、全力で競技に挑むことができました。今年の体育祭は私たちが最高学年になり団を引っ張っていくことになります。先輩方から学んだことを胸に何事にも負けず、精一杯取り組んでいこうと思います。

 また、行事ごとに限らず勉強面でも尊敬する姿がたくさんありました。電車で英単語帳を見たり、放課後も教室に残ってひたすら問題演習をしたり。ひたむきに、まじめに勉強に励む先輩方から、進路希望を実現する厳しさと、夢に向かって頑張るという強い意志を感じました。私たちも先輩方を見習って、勉強でうまくいかないことがあっても、挫けず、自分たちの夢に進んでいこうと思いました。

 いよいよお別れの時となりました。先輩方と過ごしたこの二年間は私たちにとって、かけがえのない宝物です。親しみやすく、頼りになる先輩方が私は大好きでした。 そんな先輩方が明日からはいらっしゃらないのだと思うと、とても寂しく、不安な気持ちでいっぱいです。しかし、先輩方が受け継ぎ、築いてこられた伝統を私たちが立派に引き継いでいくことをここに誓わせていただきます。そして先輩方に教えていただいた、たくさんのことを胸に夙川高校をより一層素晴らしい学校にしていこうと、在校生一同、決意を新たに頑張っていきます。

 卒業後、先輩方が飛び込んでいかれる世界には数々の困難と壁が待ち受けていることと思います。ですがその時は、苦楽を共にした仲間との日々や、ここ夙川高校での経験がきっと先輩方を支えてくれることと思います。そして時には,懐かしい母校を訪れ,元気な姿を見せてください。再び会える日を楽しみにしています。

 最後になりましたが、先輩方のご健康と一層のご活躍をお祈り申し上げ、送辞の言葉とさせていただきます。

2024年3月2日 在校生代表 名子 誠一郎