皆さん、進級と入学と、おめでとう。
今日、お話ししたいことは3つあります。1つ目は平和についてです。
ウクライナとかイスラエルとか、世界中で戦争は今のこの時点で50か所以上あると言われています。 戦争の専門家は平和のことをどう言っているのか。平和とは戦争の準備をしている時のこと。平和とは、戦争と戦争の間の短い期間のこと。戦争のプロの人はそういうことを言っている。だけど、我々にとっての平和は、そんなこととは違うと思うんです。平和とは何か。私は一人一人の人が自分の心の中で世の中が平和であってほしいと願う気持ち、一人一人が心の中で持っているその気持ちの、全員の平和を願う気持ちを合計したものが平和ではないかと思うのです。平和を望まない人はいない。それが1つ。
2つ目は味方という言葉です。味方という言葉の反対の言葉は敵です。では味方という言葉の英語は何か。味方という英語はfriendと言います。一般にfriendというと、友達とみんな思いませんか。辞書を引いてみると、friendには友達という言葉と、敵と味方の味方という言葉があります。友達をたくさん高校時代に作ってほしいと思うのは、ただの友達ではなくて、自分のことを味方してくれる人。自動的にはできませんよ。「私の味方になってください」と頼んで回らなければ、味方になってもらえないと思う。だから、いろんな人に、周りの人にたくさんでなくてもいい。1学期に1人でいい。味方を増やしていってほしい。そうしたら、卒業までに10人の親友が、10人の味方ができると思うんですね。
3番目に言いたいことは、寛容という言葉がある。寛容という言葉の英語は何かというと、半分以上の人が寛容の英語はgenerousと答えるんですね。寛容の英語はgenerousではありません。寛容の英語はtolerantという言葉です。tolerantとはどういうことなのか。一人一人の人が異なっているということを受け入れて、言葉も違う、生まれも違う、育ちも違う、そういう一人一人が違っているということを受け入れるということです。違っていて当たり前と。我々がこの寛容という気持ちを持つと、世の中は平和になります。
国連の下部組織のユネスコという機関がありますが、21世紀のユネスコのテーマは寛容だと言っている。私は昔、ユネスコの仕事をしていたので、その時に寛容という言葉の英語がtolerantであるということを知りました。「へぇ」という感じだった。だけど、これから21世紀、少なくともこれからの3年間、諸君は平和という言葉、味方という言葉と、寛容という言葉、この3つを意識しながら、夙川生として、頑張っていってほしいなというふうに心から願っています。
2024年4月6日 学園長 西 和彦