肌を刺すような冷たい外気が和らぎ、吹く風にも春の訪れを感じるようになりました。

 日増しに暖かさを増してきたこの春の良き日、夙川高等学校を卒業される3年生の先輩方、ご卒業おめでとうございます。在校生一同、心よりお祝い申し上げます。

 先輩方は、夙川高等学校で過ごした日々をどのように振り返っていらっしゃるでしょうか。私は、何事にも一生懸命取り組み、仲間と笑い合い、後輩とも仲を深める先輩方の姿が蘇ってきます。

 私は、生徒会や学校行事を通して先輩方と関わる機会が多くありました。先輩方とともに過ごす中で、全員に対し指示を出し、全体をまとめる姿に圧倒されたことは今も鮮明に覚えています。周りへの気遣いも欠かさず、リーダーとしての立ち回りに苦戦していた私を優しく導いてくれました。私にとって、これらの経験は全て、今の私を作ってくれた宝物です。あの時から、先輩方は私の憧れであり、目標になりました。

 他にも、先輩方とともに学校生活を送る中で多くのことを学びました。特に印象に残っているのは、行事に対する姿勢です。文化祭では、豊かな発想力で私達の思いつかないような出し物を考え、準備に励んでいる様子に強い刺激を受けました。部活動のステージでも、少しでも良いパフォーマンスにするために、練習と話し合いを重ね、ステージにあがると緊張を感じさせず堂々と披露している姿は、とてもかっこよかったです。私達後輩のことも気にかけ、優しく、時には厳しく接してくださったこと、本当に感謝しています。ステージの上では、間違いを恐れず全力で楽しむことを教えてくれたのは先輩方です。

 体育祭では、応援団として、何ヵ月も前から曲や小道具の準備を進め、練習では、全員ができるようになるまで何度も丁寧に教えてくれました。準備から携わらせていただいた身として、大きな達成感を味わうと同時に、先輩方の偉大さを実感しました。さらに、競技においても私達後輩を鼓舞してくださったおかげで、全力で取り組むことが出来ました。

 また、勉強面では、朝早く登校して進路相談をしたり、休み時間や放課後に先生に質問したりと、目標に向かってそれぞれの課題に向き合う様子や、毎日9時学に参加し、平日休日問わず学校に来て勉強に励む先輩方を見て、進路実現の厳しさや目標に向かって全力を尽くすことの大切さを感じました。いよいよ私達も受験生になります。一筋縄ではいかない、今まで経験したことのない苦難にぶつかることもあるかもしれません。その時は、行事にも勉強にも全力で取り組む先輩方を思い出し、背中を押してもらいながら自分たちの夢を叶えるために努力していきます。

 夙川の制服を身にまとった先輩方と会うのは、今日で最後になります。私達の前には、いつも先輩方の大きな背中がありました。いつも前に立ち、私達後輩を導いてくれる姿は、学年の違いが一つだとは思えないほど頼もしい存在でした。いつも周りに気を配り、困った時はすぐに気づいて手を差し伸べてくれることが、いつしか私の心の支えになっていたし、そんな先輩方が大好きでした。本当にありがとうございました。

 次は、私達が最高学年になります。正直、今まで前を進んでくださっていた先輩方が卒業されることはとても不安です。しかし、今まで先輩方が築いてきてくださった伝統はたくさん残っています。それらを引き継ぐとともに、今まで感じていた憧れを憧れのままで終わらせず、先輩方のように後輩から慕われる存在になれるよう、決意新たに頑張ります。

 これから先輩方が、それぞれ思い描いている未来に向かって進んで行かれる中には、希望だけでなく困難も待ち受けているかと思います。その時は、ここ夙川で関わった仲間や先生、たくさんの経験を力に変えて乗り越えて行ってください。そしてたまには、夙川に戻ってきて元気な姿を見せてください。一番長く、一番近くで先輩方を見てきた後輩として、私達はずっと応援しています。

 最後になりましたが、先輩方のご健康とより一層のご活躍を心よりお祈り申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。

2025年3月1日 在校生代表