6月15日(水)全校礼拝が行われました。
讃美歌 575番 (1、2番)
聖書:コリントの信徒への手紙一13章1-13
題名:「愛とは」
夙川学院宗教主事 樋口 進 牧師
この言葉は、1号館1階の101教室(チャペル兼用教室)の廊下の十字架の右にある掛け軸に書かれて、有名な句です。キリスト教にとって、重要な三つのことです。これは略して「信・望・愛」と言います。皆さんにとって一番大事なものは何でしょうか。高度な知識を身につけること、友達、趣味、いろんなことがあると思います。しかし、人生においてもっとも大事なことは何でしょうか。そして、礼拝において、そのようなヒントが与えられるのではないかと思います。そして、聖書の言葉の中にその示唆を与えられるかも知れません。この建物の廊下には、有名な聖書のことが書かれた掛け軸がたくさんかけられています。
それらを読んでみてください。このコリントの信徒への手紙一は、パウロというキリスト教を伝道した人が旅の途上で書いたものです。そしてパウロはここで、私たち人間にとってもっとも大事なのは、信仰と希望と愛である、と言っています。恐らくパウロは人生にとって最も大切なものが、この信仰、希望、愛と思ったのでしょう。これらは決してお金で買えるものではありません。ですから、わたしたちが所有するものではありません。本当に大切なものは、お金で買えるものではありません。そして、目に見えるものでもありません。愛にしても、信仰にしても、希望にしても、真心にしても、親切にしても、優しさにしても、勇気にしても、喜びにしてもそうです。そしてパウロは、その中でも最も大いなるものは愛である、と言っています。8節には、「愛は決して滅びない。預言は廃れ、異言はやみ、知識は廃れよう」とあります。ここに「知識は廃れよう」とあります。これは日々実感するものです。特に最近の科学技術の発達は目覚ましいものがあり、私たちが学生の頃には想像もしなかったようなものが次々と現れています。パソコン一つにしても、今の学生でパソコンの使えない人は恐らくいないと思いますが、私たちが学生の頃は自分のコンピューターがもてるなどとは夢にも思いませんでした。知識を身につけるということはもちろん大切なことですが、せっかく身につけた知識もいつかは廃れるということもまた事実です。しかし、パウロは、人生を生きていく上で、廃れないもの、永遠のもの、本当に価値のあるものもある、と言います。そして聖書は、その本当に価値のあるものを私たちに示してくれます。しかし、実際のこの世の歩みにおいては、どれが永遠のものか、どれが本当に価値のあるものかは、目先のものにごまかされて分からないのです。鏡に映すように、おぼろにしか見えないので、どれが本当のものかみ分けがつかないのです。しかし、信仰によって、本当に価値のあるものに目が開かれていくのです。私たちにとって、本当に価値のあるものは、やがて廃れてしまうのではなく、いつまでも残るものです。「最も大切なものは何か」ということは、それぞれ違うと思いますが、それを探求することも皆さん方の課題だと思います。そしてそれは、信仰と希望と愛である、とパウロはいいます。そして、その中でも最も大切なものは、愛だと言います。このコリントの信徒への手紙一13章は、「愛の賛歌」と言われています。キリスト教式の結婚式では、よく読まれる箇所です。
ここの4-7節を読んでみます。
愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。
礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。
不義を喜ばず、真実を喜ぶ。
すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。
ここの「愛は」を「愛のある人は」に置き換えてみるといいかもしれません。また、これを「わたしは」におきかえることができれば、とてもいい人生を歩むことができるのではないでしょうか。