先ほど理事長も申し上げましたが、なんといっても今日一番嬉しいことは夙川の諸君たちがここに一緒に集っていることであります。理事長と私で予め何を話すかを打ち合わせしていなかったのですが、先ほどステージ横で何を話すかを話したときに、奇しくも二人の考えていたことは一致しておりました。夙川の皆さん、来てくれて本当にありがとう。
100周年に向かって我々は進んでいます。100周年の行事その他を立案する立場にある関係で、この数年間、100周年とはどういうことなのか、伝統とはどういうことなのかをずっと考えていました。ある種の結論ではありませんが、100周年を考えるときに、2つのことを考えました。
1つ目は、この我々がこの100年近くの間、変わり続けてきたということです。それは裁縫女学校から始まって、女子中学校、女子高等学校、共学校になり、中学校ができ、というふうに須磨学園は変わり続けてきました。なぜ変わり続けてきたかというと、世の中が我々に求めているだろうことを先取りして考え、我々は変わり続けてきたような気がします。この機会に、これからもずっと変わり続けていくということをお約束というか、変わり続けていくという強い決意を持っています。 2つ目は、それと同時に変わるということだけではなくて、この100年間変わらないものがあります。絶対に何が起こっても変わらなかったことがあります。それは、教育をするという組織であったということです。人を教える本質は何かということをずっと追求してきたように思います。これも結論ではありませんが、私の考えることは、楽しく教える。これがとても大切なのではないでしょうか。楽しく学ぶ、楽しくなかったら勉強しようという気になりません。楽しくなかったらスポーツをしようという気持ちにはならない。
そして、ほぼこれが100周年のテーマという風に思われるかもしれませんが、結局どうしていけばいいかということです。今を、この今の瞬間を、今日、今週、今月、今学期、今年。この今をしっかり生きるということを積み重ねていくことが我々に与えられた絶対的な命題であるように感じるようになりました。今日は、この素晴らしいオーケストラの音を楽しんでいただければと思います。
2019年11月5日 学園長 西 和彦