
春風が心地よく吹き、木々のつぼみも膨らみ始める季節となりました。今日この佳き日にこのような心の籠った式典を挙行してくださり、誠にありがとうございます。また、教職員の皆様、保護者の皆様並びに御来賓の皆様におかれましては、ご臨席賜り、卒業生一同心より御礼申し上げます。皆様からいただいた数々のお祝いや激励のお言葉を胸に、本日、私たちK3学年38名は卒業します。
3年間の青春で満ちたこの校舎に立ち、卒業証書を手にした今、私たち一人ひとりの胸中には、様々な思いが行き来しているに違いありません。
3年前の4月、この場所で迎えた入学式。マスク越しに交わした同級生との言葉は、希望と期待で満ちていました。世界的なパンデミックを乗り越え、私たちは新たなスタート地点に立ち、「高校生活を存分に楽しむ」という願いで、私たちの心が共鳴していたように思います。特に、行事では、夙川高校としては3年ぶりの合唱コンクールや文化祭での飲食店の模擬店も実施することができました。心から楽しもうとする気持ちが私たちの結束力を高める原動力となり、みんなで笑顔に満ちた素晴らしい時間を過ごしました。
イベント当日が楽しい日になるのはもちろんですが、その準備の期間も私にとっては特別な時間でした。日々の課題やテスト勉強に挟まれながら、何とか両立しようと奮闘する期間は忙しいながらもとても充実していました。時にはうまくいかないこともありましたが、真剣すぎるがゆえに起こる意見の衝突は、私たちの結束を強め、より素晴らしいものを作り出す為の種となりました。お互いに支え合いながら進んでいくことで、自然と絆が深まっていったように思います。
すべてに「最後の」がつく学校行事が過ぎ、受験を目前に控えた私たちは、日々悩み、葛藤し、これからの進路について自問自答する日々が続きました。そんな中でみんなの存在に支えられた時が幾度となくありました。淡々と勉強に明け暮れる毎日がつらく、逃げ出したくなっても、朝早くから学校で机に向かうみんなの姿が目に映り、自分も頑張ろうと心が奮い立たせられました。放課後の食堂でみんなで食べる夕食は、受験の重圧を乗り越えるための、大切な癒しの時間でした。1年前、先生が教えてくださった言葉が、今も胸に響きます。
「懸命に勉強して努力した時間は、これからの人生において何事にも代えがたい財産になる」
今、この1年を振り返ると、まさにその通りだと感じています。決して一人では乗り越えられなかった、多くの方々の支えと共に歩んだ、かけがえのない時間でした。
未熟だった私たちを、常に根気よく、優しく導いてくださった先生方。これまで学校生活を無事に過ごし、進路へ向かって努力を続けられたのは、ひとえに先生方の熱い思いと支えがあったおかげです。授業や講座をはじめ、9時学や休暇期間の特別授業などどんな時も支えていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。これからも歩みを止めることなく、再びお会いする時には、一層成長した姿をお見せできるよう日々努力し続けます。
また、学校生活を支えてくださった職員の皆様にも心より感謝申し上げます。皆様のおかげで、安心して学び、充実した日々を送ることができました。
私が歩む道をずっと支えてくれた家族へ。部活動や進路について、いつも私を尊重して、応援してくれてありがとうございました。毎日の送り迎えやお弁当作り、そして私のわがままもすべて受け入れてくれたその優しさが、私を強く、そして進む力に変えてくれました。これからは私が支えになり、少しでも恩返しできるように、精一杯頑張っていきます。
卒業生のみんな、とうとう今日、卒業の日を迎えましたが、私にはまだ実感が湧かず、明日もまたいつも通りの高校生活が続くような気がしてしまいます。学校に行けば、友達や先生方とふとした会話を楽しみ、笑い合うクラスメートがいる。そんな当たり前の日々がなくなってしまうと思うと、どうしても寂しさがこみ上げてきます。これまでの思い出が、この学校で育むことができた友情が、この先決して手に入れることができない、かけがえのない宝物です。
3年間、何度もロッカーの汚さを注意されるし、自由登校の直前まで席替えをしたがる私たちですが、そんなみんなのことが大好きです。みんなのおかげで、毎日が楽しく、充実した時間でした。ありがとう。
入学式の日、理事長先生からの「与えられた人生を生きるのではなく、自分で選んだ人生を歩んでください」という言葉が、私の心に深く刻まれています。その教えを胸に、多くの挑戦をしてきました。大学や企業でのキャリア教育、イギリスでの短期留学。どれも新しい価値観と知識に触れる貴重な機会となりました。すべての経験が大切な学びで、私はこの様々なことに挑戦できる、素晴らしい環境に感謝しています。
また、学園長先生からは「なりたい自分こそが一番大切である」と教えていただきました。その言葉に込められた意味は、この学校での様々な経験を通じて私の中で形になっていきました。研修旅行や行事を通じて、自分と向き合いながら新しい気付きを得て、少しずつ成長できたように感じます。これからも、挑戦を恐れず、自分自身を問い続けて成長していきたいです。この学校でのすべての学びと経験に深く感謝しています。この学校に巡り合えて、良かったです。
これからは今まで以上に競争が求められる「社会」という場所に進んでいくことになります。自由が広がる一方で、責任も一層重くなります。しかし、この3年間の学びを胸に、これからの日本を担う自覚をもち、自らの力を生かし社会へ貢献できるような人間になれるよう進んでいきます。
3年前、何度も悩んで夙川高校を選びました。卒業の日を迎えた今、あの時夙川高校を選んで良かったと胸を張って言うことができます。
結びになりましたが、3年間私たちに関わってくださったすべての方々に感謝を申し上げるとともに、夙川高校の益々の発展を心より祈念し、答辞の詞といたします。
2025年3月1日 K3学年 卒業生代表