卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、ご家族の皆様、本日はお子様のご卒業を心からお祝い申し上げます。須磨学園の学園長として、皆さんの晴れの日を迎えることができ、大変誇らしく思います。

 皆さんがここ須磨学園夙川高等学校で過ごした年月は、単に知識を学ぶ時間だけではなかったはずです。私たちは「専門性」「人間性」「国際性」という三つの柱を大切にしてきました。そして、皆さんはその精神を体現する存在となりました。

 まず専門性についてです。皆さんはそれぞれの分野で深い学びを追求し、時には困難にも直面しながらも、それを乗り越える力を身につけてきました。授業や自由研究、課外活動を通じて磨かれたその専門性は、これからの社会で皆さんが立つ基盤となるでしょう。世の中は理系にシフトしていると言われています。理系の人はどこよりも文系のような理系になってほしいです。また文系の人は、人から理系だと言われるような文系になってほしいし、それが求められているのではないでしょうか。しかし、専門性だけでは十分ではありません。そこで大切になるのが人間性です。須磨学園での生活の中で仲間と共に笑い、時には涙し、お互いを支え合った経験は、皆さんの心を豊かにしました。人として、温かさや思いやり、倫理観。それらは、どんなに技術が進歩しても、決して失ってはならないものです。専門性が「頭」を支えるならば、人間性は「心」を育む力です。

 インターネットの時代になって、一人の個人が、一生の間に出会うことができる人の数は、100倍ぐらいに増えたと言われています。だからこれからの人生でぜひ、人との出会いを大切にしてほしいと思います。

 そして国際性。私たちは国境を越えた視野をもつことの重要性を常に伝えてきました。異なる文化や価値観に触れ、言葉を越えた理解を深める努力をしてきた皆さんは、既に世界に開かれた存在です。これからの時代は、多様性がさらに求められる時代です。皆さんが培った国際的な感性は、必ず未来を切り開く鍵となるでしょう。 英語を話すことよりも、もっと大切なことは、それぞれの異なった国の文化を理解することであります。

 卒業は終わりではなく、新たな始まりです。須磨学園で得た専門性、人間性、国際性を胸に、自信をもって次のステップへ進んでください。時には迷い、失敗することもあるかもしれません。それでも皆さんはそれを乗り越える強さと優しさがあると思います。私たち教職員一同は、皆さんがどこにいても、どんな道を選んでも、ずっと、ずっと、ずっと応援していく所存です。

 最後にもう一度。ご卒業、本当におめでとうございます。皆さんの未来が輝かしいものであることを心から祈っております。

2025年3月1日 学園長 西 和彦