中学卒業おめでとう。ちょっと一息というところです。

 皆さんは卒業の前に、第1期生の先輩たちが夙川を卒業して、東京大学に一人、京都大学に一人、大阪大学に一人、神戸大学に一人、九州大学に一人入ったというニュースを聞いていると思うんですね。皆さんはどう感じましたか。それが来年またどう増えて、再来年どう増えて、その後、皆さんの学年の時に何人になるか、そういう風に思ったのではないでしょうか。今、東大にいきたいなと思っている人は「いけるかも」と、京大にいきたいなと思っている人も「いけるかも」と、阪大にいきたいと思っている人も「いけるかも」と。医学部にも合格しているわけですね。薬学部にも。だから医者になりたいと思っている人も、「自分は医者になれるかも」と思っているかもしれません。

 そこで今日、僕は皆さんに言いたいことがあります。自分たちが今、もっている目標。そのワンランク上の目標を再設定してほしいです。京大がよいと思っている人は東大。阪大がよいと思っている人は京大。神大がよいと思っている人は阪大。なぜかというと、大変申しわけないけれども、これからの3年間、諸君たちが今まで勉強してきた姿勢ではなくて、もうワンランク上の勉強に向かう気持ちになれば、私はそれが実現できると思います。それを諸君らに要求する人は、今のところ周りには誰もいないと思います。「ワンランク上をやってみたらどうか」ということを皆さんにあえて言う人は私くらいのものだと思います。

 どうしてそれを言うのか。それは人間の人生で実現することは、その人が思い浮かべた夢を超えることは絶対にありません。自分が考えた目標を実現した瞬間に「休め」と、そこでストップがかかってしまいます。悪いけど、高校3年間、青春はお休みにして勉強する。必死で勉強する。それをあえて皆さんにお願いしたい。結果としてどうなるのか。結果として、高校時代の世間情勢とか、テレビで何を見たとか、YouTubeで何を見たとか、そういう記憶が全部欠落するかもしれない。僕の高校時代、大学を目指して勉強している時の記憶がありません。それでよいのか、私はそういう時代があってもいいと思うのですよ。「あの時ほど必死に勉強した時はなかった」歳をとってみれば懐かしい思い出になるかもしれない。

 そこでもう一つのお願い。あらゆることを犠牲にして、勉強だけをするのはやめてほしい。これだけは犠牲にしてはいけないというものがあります。それは何か。友達です。高校時代の3年間、勉強と友情、この二つを大きなものとして、これから高校時代に向けて頑張っていってほしいなと思います。そうしたら間違いなく、ピカピカの素晴らしい高校の卒業式がくると思う。今まで長い間、中学と高校に携わってきた自分の経験として、穏やかに育ってきた諸君らに心の底からお願いしたいことは以上のことであります。

 3年間、これから3年間頑張ってください。期待しています。そして、諸君らは絶対にそれを実現させることができる人たちだと信じて、疑いません。

2025年3月15日 学園長 西 和彦